インタビュー

株式会社さわやか倶楽部 様

Interview date|2021.11.9

株式会社さわやか倶楽部様の概要情報 ■従業員数:2,920人(2021年3月)
■主な事業内容
・有料老人ホーム(介護付・住宅型)
・サービス付高齢者向け住宅
・認知症対応型共同生活介護
 (グループホーム)
・短期入所生活介護(ショートステイ)
・通所介護(デイサービス)
・障がい者支援サービスなど

この度は、全社的に ANSIEL をご採用いただきましてありがとうございます。
さわやか倶楽部様は全国に施設を展開していらっしゃいますが、まずは会社概要についてお教えください。

福岡県北九州市に本社を置き、全国110カ所、188事業所を展開しています。 サービスの中心は介護付き有料老人ホームです。ここ最近では毎年3~5施設を新規開設しています。ベッド数は最大で136床ですが、50~60床の施設が比較的多いです。 全国トータルでは約6,000人程度のお客様に利用していただいております。 私(石本氏)は運営部長として全国の施設を、樫村は千葉エリアマネジャーとして7カ所の施設を管理しています。

今では管理的立場でお仕事をさせていただいておりますが、もともと現場出身ですので、現場のことは多少なりとも理解しています。 「介護の中心は現場」と思っていますし、現場がよりよく介護をできるようにしていくのが我々の仕事と考えています。

主に施設はどのような人員の体制で運営されていますか。また職員様にコロナの影響はありましたか。

ご存じのように高齢化社会が社会問題となっており、この介護業界はコロナの前から全体的に人材不足でした。 さらに、コロナウイルスの感染拡大により、家族への感染リスク増加を懸念してコロナ禍以降に辞めてしまった職員もいるのは事実です。 コロナウイルスへの感染は自分一人の問題ではなくなるので・・・。

施設内の職員の体制は、入居型の場合では24時間で4交代制をとっています。早番・日勤・遅番・夜勤ですね。 法律では3名の入居者様に対して1名の介護士が対応することが義務づけられています。定員が30名の施設なら10名で切り盛りするということです。

ただし、介護士の配置、フロア毎の人数は施設やフロアの造りや入居者様の状態などによって変わってきますので一概にこの人数で充実するとは言えません。
我々の施設では平均的に入居者様2.4人~2.7人に1人の介護士の割合で運営しています。

ANSIELを導入していただいたきっかけをお聞かせください。

まずは、転倒などの事故を未然に防ぐのが最大の目的です。今後全面的な導入を考えていますが、まずは4施設で採用させていただきました。
施設の入居者様は介護度が要支援1~要介護5まで、様々な状態の方がいます。だいたい要介護3くらいから全般的な生活が困難になってきます。

転倒のリスクという点を考えると、実は要介護1~2で、自分で動くことのできる方が転倒するパターンが圧倒的に多いです。 転倒が原因で骨折してしまうケースもよくあります。自分で動けていた方だからこそ、骨折すると生活は一変してしまいます。 骨折しても治ればいいのですが、高齢者に多い大腿骨頸部骨折は、年齢的、身体的に手術ができない場合、車いす生活を強いられてしまいます。 入居者様の視点で見ると今まで自分で出来ていた動作が出来なくなってしまいますから、ショックの大きさは計り知れないです。

施設では、転倒事故などが起きると、職員は今まで以上に見回りを強化する必要がでてきます。たとえば2時間に1回だった巡視を30分に1回にするなどの対応がでてきます。 本当はもっと入居者様に寄り添うような介護をしたいのですが、見回り業務に追われてそういった時間が作れなくなってしまいます。だからANSIELが我々には必要でした。

ANSIELを導入することにより、離れたところからでも、起き上がりや立ち上がりなど、入居者様の生活リズムが解るようになりますので、 巡視のタイミングを効率化できます。訪室するべき時間も解るようになりますし、たとえば入居者様がトイレに行く前に駆けつけてサポートすることも出来るようになります。 作業の時間を効率化して、もっと他の介護に時間を使いたかったので、魅力的な機能でした。

導入後の効果はいかがでしたか。

導入した施設での事例で、これまで何度も転倒を繰り返していた方にANSIELを設置したところ、起き上がった時点で通知してくれたため、 立ち上がり前に駆付けができ、事故を未然に防ぐことができました。また、今後の活用にも大きな期待をしています。
今までいろんな機器を試してきました。いわゆる介護ロボットとしてアシストスーツも購入しましたが今ではほぼ使われておりません。 また、床に敷くタイプのフロアセンサーなども含め、ANSIELのようなセンサーは5・6社試しましたが、いずれも不満が残る結果となりました。

他社のセンサーは、設定方法や不具合が起きたときの対処方法などが難しく、メーカーのサービスマンにその都度確認が必要でした。 何かあったときに自分たちである程度対応・改善できるものでないと、到底現場では使えません。そもそも介護の現場は今までパソコンを使う業務は少なく、 機器に対して疎い職員が多い傾向にあります。そんな中、ANSIELはかなり簡単に設定ができ、自分たちだけでも対応できました。それも決め手の一つです。

以前と比べ、介護業界でもICT機器が受け入れられるようになったという実感はありますか。

昔は施設内の機器といえばナースコールが絶対的な地位を占めていました。でも今の施設はWi-Fi環境も整っていますので、 以前よりはいろいろな機器が採用しやすくなっていますね。
ANSIELは他社製品と比べ、使いやすさ、設置しやすさとコストパフォーマンスがよかったです。正直を申しますと介護は利益率が高い業種ではありません。 現実問題として、運営が始まって年数の経つ施設に、今から高額な設備投資を行ない、入居者様全員分の機器を導入することが困難な施設も多いのではないでしょうか。 現場の使いやすさ、入居者様の安全性、そしてコスト面も加味して今回ANSIELに決めました。

人によってはデータをとられるのが嫌という方もいるのでは。

昔はそういった方が多かったかもしれませんが、今はそのような拒否反応はなくなってきたように感じます。 確かに ANSIELは「心拍・呼吸や在床状況のデータ」を取ることができます。最初は抵抗があるかもしれませんが、基本は転倒予防の機器であり、 安全を守るために必要なものであるため、ほとんどの方は納得されます。また、こういった心拍や呼吸のデータで病気の予測もできるかもしれませんので、 そういった情報をお客様に開示できるのであれば納得される方も多いのではないかと感じます。 以前に比べると確実に理解していただきやすい状況になっていると思います。

逆に、家族の方からはもっと早くこういうものがあってもよかったのに、と言われることもあります。
自分で動ける方の転倒事故を防ぐことができるのは勿論、寝たきりの方の変化は見ているだけではわかりづらいのですが、データを取っていると解ります。 また、心拍と呼吸を取っているので、終末期の方にはこれが本当に役に立ってきます。
入居型施設だけではなく、もっといろいろな活用方法を考えてお客様に提案したいと思っています。ショートステイの利用者様にこういう機器があることを紹介すれば、 自宅でのレンタルの需要も生まれると思います。車いすと同じようにレンタルできれば喜ぶ方は多いのではないでしょうか。 買取にするか、レンタルにするか、考えどころですが。介護施設でも今後は健康志向が高まると思いますから、ライフログデータとしての需要も出てくると思いますね。

導入される施設と導入していない施設の差は。

施設数が多いので一度に全部を変えることは出来ません。現在、フロアセンサーも使っていますので、まずは使用中の機器を順次ANSIELに替えていくことから始めています。 また全ての入居者様に必要か、というとそうでもなく、必要な方とそうでない方はいらっしゃいますので、現場の声を聞いていかなければならないと考えています。 来春開設の施設では ANSIELを全床導入しての様々な検証を予定しています。簡単な設定変更で用途(起上検知の要不要)を切り替えられる強みを、 実際の現場でどう活かしていけるか。また、そこで蓄積されたデータをどうケアの質向上に応用できるかを追求していくつもりです。

介護に対する考え方と言われましたが、さわやか倶楽部様の考えを詳しく教えていただけませんか。

今まで作業の効率化ということを申し上げてきました。この言葉を、作業がラクになるとか、効率的になるとか、 数字的な指数だけで理解しようとされることが多いですが、我々の考えは実はそこに焦点を置いていません。
我々は入居されている方の人生の質、生き方の質を向上させることが介護の本質だと思っています。見回り、巡視に行くという作業に時間をかけることではなく、 職員がもっと入居者様と関わる時間を増やして入居されている方の人生を豊かにすることが介護だと思っております。 そういう本当の意味での介護を職員に知ってほしいし、実践してほしい。介護って楽しいって思ってほしいんです。

入居者様のケアプランを作るときには、アセスメントといって身体状況をヒアリングするんですが、 普通はお箸で食べられますか?スプーンですか?などと質問するんですね。入居者様のリスク管理の項目について、 現在の状態を把握し安全を確保することが目的なのですが、それが主になると今の生活を守ることが最優先になり、業務中心の介護につながってしまいます。
我々の考えは違います。今以上に施設で楽しい人生を実現することをお手伝いする、それが介護だと思っているので、我々のケアプラン作成では、 九州大学と共同開発した『ライフマップ』というツールを利用し、入居者様が生まれた時から今までの人生について深くお聞きします。 若いときにやっていたこととか、諦めたこととか、そういうことも聞いていきます。我々はそういった夢を実現できるように手助けする存在でいたいからです。
日々の暮らしの補助をすることではなく、人生の仕上げをどのように充実させていくのかを一緒に考えていきたい、 という願いから生まれたのが我々の『ライフマップ』です。ここでお聞きした想いを実現することを我々の介護の目標に掲げています。

具体例を挙げさせていただくと、要介護4で車いす生活をしている入居者様がいました。その方は、昔子供たちと食べた北九州で有名なラーメンを食べたいと仰いました。 それを聞いた我々はその想いを応援することにしました。 ラーメンを食べに行くことを実現するためには、まずは歩けるようにならなければいけないので、根気強いリハビリが必要でした。 リハビリはやらされている意識が大きいですが、本来は違います。自分の想いを実現するために、自分の意思で行うものです。 この方もそうした想いからリハビリを自ら率先して行うようになり、ついには歩けるようになりました。しかし、まだそれだけではラーメン屋には行けません。 トイレも自分で出来るようになる必要がありました。最終的に、10ヶ月掛かりましたが、この方はラーメン屋に行くことができました。 歩けるようになり、トイレも自分で行けるようになったんです。それで生活は一変しました。本来やりたかったけど、「行けないと言われるし、 できないと思ったから口にしなかった」夢に取り組めるようになりました。

我々が時間を使いたいのはそういう介護です。同じサポートでも意味が違います。 作業をラクにしたいわけではなく、本来の喜びをお客様・職員に解ってもらうために、単純な作業に割く時間は少しでも短くしたい。 それを手助けしてくれるのがANSIELだと思っています。ANSIELで入居者様の身体状況を知ることが出来れば、余計な労力を削減して、本当の介護に集中できるからです。

もう一つ『ライフマップ』の例を挙げると、以前、山登りが趣味の方がいました。この方は一人で山登りすることが趣味でした。 一人の理由は人に気を遣いたくないし、気を遣われたくないからでした。 だから、レクレーションが終わったあと「皆さんで一緒に帰りましょう」と職員に声をかけられるのもストレスに感じていました。 その方を知り、その方に合わせた介護をすることが大切です。そして、いざというときには確実に対応する。 その介護の実現のための時間づくりをANSIELがサポートしてくれれば、もっと入居者様に寄り添った介護をすることができるようになると思います。

ANSIELに期待することは。

心拍と呼吸が取れるということは、事前に様子の変化に気付くことができると考えています。 どのような事まで解るようになるかは今後データを集めて分析する必要がありますが、病気や感染症の予兆がわかるようになればいいですね。 コロナやインフルエンザもそうですが、施設の中で一人でも感染性の病気にかかってしまうと、その方を隔離して見守る必要が出てくるので、 得られる効果は大きいと思います。

今後はどのような介護を目指していますか。

さわやか倶楽部様のホームページはこちら
http://www.sawayakaclub.jp

家では出来ないことが、介護施設ならプロのサポートを得てもっと充実した人生をおくることができることをより広く知っていただき、 施設介護がもっと前向きな意味を持つようにしていきたいです。
家族には言えないこともあるかと思います。また、御家族は介護のプロではないので、生活に必要な介護もどのように介助したらいいのかわからないかもしれません。 一方、我々は介護のプロとして生活だけでなく人生の集大成をサポートすることを目指しています。
そのため、さらなる質の向上を目指し、産学連携にも力を入れています。

『ライフマップ』はお話しさせていただいたように、九州大学と共同で作りました。 また、口腔ケアに関しては、九州歯科大学と共同研究しており口腔ケアに関する自社資格を設け、取得者には手当を付けるようにしました。
これも高い技術で効率的に質の高い口腔ケアを提供したいという想いからです。口から食事をとれることは健康の第一歩です。
さらに、九州工業大学とは記録システムの共同開発や介護記録データの分析も行っています。これらは職員の作業的な業務を減らして本当の介護を実現するためです。 そこにANSIELが加わったことで、我々が目指す介護の姿にまた一歩近づくことができそうです。 これからも積水さんと一緒に、よりよい介護の実現に取り組んでいきたいと思います。

このインタビューを終え、ANSIELという製品で社会に貢献できている確かな実感を得ることができました。
これからもよりよい製品を開発していきたいと思います。本日はありがとうございました。

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高精度起き上がりセンサー「アンシエル」

製造元

積水化学工業株式会社高機能プラスチックスカンパニー 開発研究所 SDプロジェクト ☎ 東日本:03-6748-6525
☎ 西日本:075-962-8854
https://www.sekisui.co.jp/

販売元

積水マテリアルソリューションズ株式会社 ☎ 03-6744-5786
https://www.sekisui-ms.co.jp/

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